金持ち頸損と貧乏頸損

3月に知り合いの頸髄損傷患者Aさんの3回忌の集いがあった。


7歳年上で自発呼吸はあったが同じ程度の寝たきりで、

同じ市内在住ということもあって何かとお世話になった。


高校の授業で組体操の練習中に事故があったらしい。


そのAさんが”金持ち頸損と貧乏頸損”という言葉を

口癖のように言っていたのを憶えている。


私も貧乏頸損に該当するのだという。


その時はよくわからなかった。


その後ズームで座談会があった時、

その場で以前から感じていた一つの疑問をぶつけてみた。


一人暮らししている方が数名いたので

「皆さん、障害年金だけで生活できてますか?」


そう聞くと皆さんから労災保険があるから、

との答えが返ってきた。


ああ、なるほどAさんが言っていたのは

保険の有無のことか、とこの時に気づいた。


Aさんも私も高校の時に校内での事故だった。


社会人なら各種保険に入っていることも多く、

特に勤務中の事故は労災保険が下りることも多い。


このような障害年金以外の収入源があるのとないのとでは

同じ脊損、頸損患者であったとしても経済事情は

まるで違ったものになってくる。


Aさんは10年ほど一人暮らしをされていたが

障害年金だけでは当然足りない。


自宅で生活している間、貯めていた

障害年金を切り崩しながら赤字分を補填していたそうだ。


私も親と同居で生活費を持ってもらっているから

なんとか生活できているわけで。


そうでなければとっくに人工呼吸器を外していただろう。


私を含めた多くの障碍者がそうであるように

Aさんも何かしらの稼ぎはないかと試行錯誤していたが

誰もが上手くいったという解決策は聞いていない。


このような問題はどう解決すればよいのやら、

見当もつかないままにここまで来てしまったというが実状だ。



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