街中の小さな障害

車椅子を電動アシストに替えて行動範囲が広がった。


これまで途中の下り坂は帰り道が登れるかが不安で

先に進めなかった場所も行けるようになった。


辿り着けなかったJRの最寄り駅まで

行けるようになったのは30年来の悲願達成である。


そんな電動アシスト車椅子が補助金込みで98万円。


健康の価値は金銭に代えがたいとつくづく実感する。


車椅子での屋外移動は想定外が多い。


昔の記憶を頼りに行けるかと思っていたルートが

車椅子では通れなかったりする。


歩道によっては雨水が貯まらないように

歩行者には気づかないレベルの傾斜があり、

重量のある車椅子は右へ左へと引っ張られたりもする。


車道のほうに体が傾いたりするとかなり怖い。


それでもまだ歩道があるなら通行人と自転車が

すれ違う程度の幅は期待できる。


ただ傍から見ていると電動自転車って思いのほか速く、

平坦な所でも普通に速い。


対向車が来れば端に避けるがそもそも道が狭い。


目線がちょうどハンドルの辺りだから風を感じるくらいの距離だと

なかなかに怖いものがある。


ベビーカーを押しているお母さん方も

似た状況にあるのではと勝手に推察している。


ただ車椅子の乗り心地は最悪で伝わってくる振動や

時々つんのめるような凸凹からの衝撃にすぐに気持ち悪いくなる。


おそらくはベビーカーの中の赤ちゃんも大変だろう、

と勝手に同情するとともに妙な親近感も覚えたりもする。


自動車で行けばいい、

と逃げないでほしい。


たかが歩道。

けれど何か問題が起こるまで放置される確信できるほどに

社会の優先順位は低い。


近隣の雑木林やため池が潰されてマンションや戸建てが増え、

自動車も人も交通量が増している半面、

小さな障害は放置され続ける。


そのような小さな障害は至る所にあるが

なかなか意識されることは少ない。


街中の小さな障害を最初から取り除くという視点が

街づくりに欠け続けるかぎり、

世間の認識の外に置かれ続けるのだろう。


他者を変えるのは難しいというけれど

そこを曲げて何とか変わってはいただけないものだろうか。



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