寝たきりにとっての展望。

コロナ禍の3年という時間は家に籠りきりだった自分にとっては

想像を超えた長さだったようだ。


障がい福祉課の人員配置が替わっていて

知っている人がほとんどいなくなっていた。


コロナ以前は職員の方に家まで来てもらって生活のことで話をしたり、

役所に書類を持っていっては顔や名前を憶えてもらっていた。


このところ、相談員を通してやり取りをしていたのだけど、

こちらの様子がもう一つわからないようで話が噛み合わないらしい。


それならと市役所まで行くことなった。


同じ市内在住で頸髄損傷患者のHさんも

役所に行かれるというので同行させてもらう。


事前に連絡を入れてアポを取り、

会議室を使わせてもらった。


顔合わせの後、今の生活の状況と行政への要望を話す。


人工呼吸器利用者や四肢麻痺の場合、

痰が詰まったり呼吸器が外れても自力での対応ができない。


だからそれらに対応するための見守りの時間が必要になる。


これを長年にわたり両親に依存してきた。


しかし、どちらも後期高齢者となり、

いつまでもこのままとはいかない。


制度上、在宅生活の次の選択肢がない以上、

自宅で頑張るしかない。


多くの障がい者や難病の寝たきり患者が同じような問題を抱えているが

根本的な解決策はなく、なかなか革新的な事例は出てこない。


障がい者や難病を抱える親たちが


「この環境、この生活であればこの子は大丈夫だ。」


そう思える政策が出てくるのを期待しているが予算にせよ、

人員にせよ、全てが不足している中で行政はどうあるべきか、

混迷しているように思える。


障がい者の側から意見できる機会があればと思う。


ただ、そのような場がないのが問題だ。


とりあえずは市の施策がどのように決まったのか、

その過程をわかるようにして欲しい旨を伝えて

現時点でできる具体的な話を進める。


ヘルパーの時間数についてのお願いだ。


2002年12月、

和歌山市で24時間介護の必要な1人暮らしの脳性まひの方の

重度訪問介護時間数の裁判で、画期的な判決が出た。


判決では、市に対し、「重度訪問介護の支給量を

1か月500.5時間以上744時間以下とする支給決定をせよ」

というものだった。


この判決を皮切りに各地で

一日あたり24時間の時間数を求める動きが強まる。


以来、私の周りでも一日24時間の時間数の認められるケースが

散見されるようになった。


自分も彼らに倣い、事あるごとに行政に要望を伝えている。


ただ一律に認められているのではなく

一人暮らしをしているなど優先順位の高い案件から順に進めているらしい。


取り巻く環境は相変わらず厳しいが

少しずつ改善はされているのだと思う。


精神的な思索はできるし、

ICUに担ぎ込まれるまでは

ネットで情報発信もコミュニケーションもとれる。


まだまだ粘れるだろう。


既に運は天に任せてある。


どこまでいけるかはわからないが

今、置かれている状況下での最善を尽くせばそれでいい。



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